2020年7月16日 株式会社グローバルインフォメーション

DelveInsight Business Research LLPによる市場調査レポート「Geographic Atrophy (GA) Market Insight, Epidemiology and Market Forecast - 2030(主要7カ国の地図状萎縮 (GA) 市場:市場分析・疫学・成長予測 ~2030年)」から、地図状萎縮市場のトレンドを紹介する。(翻訳・校正:販売代理店 株式会社グローバルインフォメーション)
黄斑の地図状萎縮(Geographic Atrophy:GA)治療の市場規模は、2017年から2030年の予測期間中、GAの有病率の増加、疾患の病態生理への理解の深まり、より良い治療法、そして根治療法の開発を目的としたパイプライン候補の増加を要因として拡大すると予想されています。
地図状萎縮(GA)は、進行した加齢黄斑変性症(AMD)であり、網膜の外側の細胞が劣化します。細胞が萎縮した領域では、視細胞または網膜色素上皮(retinal pigment epithelium:RPE)の喪失により、視野内に区画性の萎縮性病変または盲点が発生します。細胞萎縮の結果、その領域の視野には盲点が発生し、やがて不可逆的な視力低下が進行して、通常は患者の中央視野に影響を与えます。疾患の初期症状としては、物の一部あるいは読んでいる文字の一部が見えない、または相手の顔の細かい部分を見ることができないなどがあります。
Brader氏らの研究(n.d.)によると、推定700万~1,000万人のアメリカ人がAMDの初期症状を示しており、AMDが進行してGAになるリスクが高いとされています。さらに、15年以上の期間では、初期のAMDからGAへの進行の発生率は14%と推定されています。Fernanda Vaz氏が執筆した別の研究では、GAは新生血管型AMDほど一般的ではないが、全世界で500万人以上に発生する失明の10~20%の要因がGAであると推定されています。
地図状萎縮市場
この疾患の重篤さと発生率の高さを鑑みると、現在までのところ、GA市場では、疾患の発症や進行を予防する効果が認められた治療法が存在しないのは、嘆かわしいことです。GA治療の第一の目標は、完全な視力喪失を最小限に抑えるために病気の進行を止める、あるいは遅らせることにあります。GA治療の主要な製品には、市販の高用量抗酸化物質とミネラル(AREDSサプリメント)、ビタミンCとE、ベータカロチンが挙げられます。米国の国立眼病研究所が資金提供した最初のAREDSに関する研究では、高用量の抗酸化ビタミン、銅、亜鉛を5年間摂取することで、中等度からさらに進行した乾燥型AMDの患者の約30%が、進行性の湿潤型AMDを発症するリスクが軽減されたと実証されました。また、AERDS2研究の結果では、ルテインとゼアキサンチンを既存の製剤と併用することで、β-カロチンに代わる効果的で忍容性の高いサプリメントになることが示されています。PreserVision AREDSやPreserVision AREDS 2(Bausch+Lomb)などの市販のサプリメントは、進行性AMDへ進行するリスクがある患者に日常的に推奨されていますが、GAを回避するために患者に提供するものが他にないことがその理由です。しかし、これらのサプリメントや製剤が乾燥型AMDからあらゆるタイプのGAへの進行を抑制するという証拠は乏しく、まだ研究段階にあります。近年では、疾病病因のさらなる理解のための研究開発の加速、そして、現在、臨床試験の評価中の多くの新しい潜在的な治療法を伴う先進GAパイプラインの開発で、GA分野における目覚しい進歩が期待されています。
Apellis Pharmaceuticals, Alkeus Pharma, Regenerative Patch Technologies, Ionis Pharmaceuticals, IVERIC bio (Opthotech), Alimera Sciences, Genentech, Gyroscope Therapeuticなどの企業が、GA治療法の市場におけるパイプライン開発を加速させていますが、GAを標的にした治療法の候補は少なく、その他多くは湿潤型AMDを対象とした治験が行われています。
最近、IVERIC bioは、AMDに続発するGA治療のためのZimura(アバシンカプタド ペゴール)の最初の第III相臨床試験(OPH2003)で、 18 ヶ月の良好な結果を発表しました。Zimuraは、新規の補体C5阻害剤であり、補体因子C5のC5aとC5bへの開裂を阻害することで、AMDの発症・進行抑制に作用します。Zimuraは、網膜色素上皮(RPE)の変性を抑制することで、この疾患の発症を遅らせる、あるいは初期段階で予防できる可能性を示しました。また、Apellis Pharmaceuticals社は、進行したGAおよび低視力の患者を対象とし、C3とC3bに特異的に結合する標的型C3阻害剤であるPegcetacoplan(APL-2)の第III相試験を行っています。
新しい治療法、AMDの累計の特定における進歩、そして疾患の病理学的理解の進歩を助ける新しいバイオマーカーなどの登場が予想され、2020年から2030年までの予測期間中、GA治療の市場規模は拡大することが予測されています。さらに、世界的にGAによる医療費の負担が増加することやGAの有病率が増加することも、GA治療法市場のダイナミクスにポジティブな影響を与えると考えられています。また、Apellis社のAPL-2やIveric社のZimuraなど、GA治療薬が未だ数種類しか開発されていないことも、製薬会社やヘルスケア企業がGA市場において未開拓の機会を探る上で魅力的な要素となっています。
要点
地図状萎縮とは?
地図状萎縮(Geographic Atrophy:GA)とは、加齢黄斑変性症(AMD)が進行し、網膜の外側の細胞が衰えていく疾患です。
GA治療市場の現在の主力は?
GA治療法の主要なものとしては、市販の高用量抗酸化剤やミネラル(AREDSサプリメント)、ビタミンCやE、βカロチンなどが挙げられます。
GA市場の主要企業は?
Apellis Pharmaceuticals, Alkeus Pharma, Regenerative Patch Technologies, Ionis Pharmaceuticals, IVERIC bio (Opthotech), Alimera Sciences, Genentech and Gyroscope Therapeuticなどの複数の企業が、GA市場におけるパイプライン開発を加速させています。
GA市場のパイプライン治療薬は?
APL-2(Apellis Pharmaceuticals)、ALK-001(Alkeus Pharma)、CPCB-RPE1(Regenerative Patch Technologies)、Ionis-FB-Lrx(Ionis Pharmaceuticals)、Iluvien(Alimera Sciences)などがあります。
GA治療市場の今後の動向は?
GAの有病率の増加、病態生理に対する理解の深まり、医療費や研究開発費の増加、根治療法の開発を目的としたパイプライン候補の増加などにより、GAの市場規模は2030年まで拡大すると予測されています。
DelveInsight Business Research LLPの市場調査レポート「Geographic Atrophy (GA) Market Insight, Epidemiology and Market Forecast – 2030(主要7カ国の地図状萎縮 (GA) 市場:市場分析・疫学・成長予測 ~2030年)」
https://www.gii.co.jp/report/del945499-geographic-atrophy-ga-market-insight-epidemiology.html
販売代理店 株式会社グローバルインフォメーション
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